地すべり災害をふせぐ
地すべりをふせぐための工事や施設は、大きく2種類に分けることができます。1つは、地すべりの原因を取りのぞく工事や施設です。地すべりの多くは、すべりやすい地層(ちそう)がある場所に地下水がたまることによって起こるので、特別な井戸に地下水を集めて地すべり地(地すべりが起きている場所)の外へ流す工事や、雨水が地面にしみこまないようにする工事などをおこないます。
もう1つは、地すべりの動きを力でおさえる工事で、地下水を取りのぞくだけでは地すべりがとまらない場合におこないます。これには、地すべりブロック(地すべりを起こしている地面のかたまり)の下の動かない地面まで長い杭(くい)を打ちこんで、地すべりが動くのをおさえる工事などがあります。
集水井工(しゅうすいせいこう)
地すべりの原因となる地下水を取りのぞくために、地すべり地に深い井戸(集水井)をほって地下水を集め、川などに流します。これを集水井工といいます。
集水井には、集水ボーリングとよばれる小さなあなのあいた細いくだが何本もついています。地下水は、この集水ボーリングで集水井に集められ、排水(はいすい)トンネルを通って外へ流されます。集水井は、大きいものだと直径3~4メートル、長さは40メートル近くもあります。
表面排水路工 (ひょうめんはいすいろこう)
地すべりの原因となる地下水は、雨水や雪どけ水が大量に地面にしみこむことでふえてしまいます。そこで、雨が降ったとき、それが地面にしみこまないうちに地表で集めて、地すべり地の外へ流すための水路をつくります。これを表面排水路工といいます。
杭工(くいこう)
地すべりの下にある動かない地面まで、コンクリート製や鋼鉄(こうてつ)製の大きな杭を何本もさしこみ、地すべりを止めます。これを杭工といいます。
アンカー工
地すべりの下にある動かない地面に、ワイヤーや鋼棒(こうぼう)でできたアンカーを差しこんでセメントで固定し、アンカーを引っぱって、地すべりブロックを動かない地面につなぎとめます。これをアンカー工といいます。
排土工(はいどこう)と抑え盛土工(おさえもりどこう)
地すべりブロックの頭を軽くし、足もとを重くすると、地すべりは動きにくくなります。地すべりの頭部(いちばん上の部分)の土を取りのぞく工事を排土工(頭部排土工)、地すべりの足もと(いちばん下の部分)に土を盛(も)ってかためる工事を抑え盛土工といいます。
これらの工事は、周りの土地をよく調べておこなわないと、今ある地すべりの上や下の土地にも地すべりを発生させてしまう危険があるため、注意が必要です。