なだれ
山の斜面(しゃめん)に積もった雪が、くずれ落ちる現象(げんしょう)がなだれです。なだれには表層(ひょうそう)なだれと全層(ぜんそう)なだれがあります。表層なだれは、先に積もった雪の上に新しくたくさんの雪が積もったとき、上に積もった新しい雪がくずれ落ちるもので、真冬の気温が低くて雪が降り続いている時期に起こります。全層なだれは、古い雪も新しい雪もいっしょに、地面をけずりながらくずれ落ちるもので、春先の天気がよくて気温が上がった日や、雨が降ったときなどに、雪がとけることによって起こります。
日本は国土のおよそ半分が豪雪(ごうせつ)地帯(雪が特に多く降るところ)に指定されています。それに加えて山が多いため、なだれの危険(きけん)の大きい場所にたくさんの人が住んでいます。また、スキーなどのレジャーでも、多くの人が雪山にやってきます。このため、雪の多い年は、かならずといっていいほどどこかで、なだれで家がうまったり、スキー客がまきこまれたりする被害が出ています。
なだれの速さと力
表層なだれの速さは、だいたい時速100~200キロメートルで、新幹線と同じくらいです。全層なだれは時速40~80キロメートルで、自動車くらいです。スピードが速い表層なだれのほうが、くずれた雪は遠くまでとどきます。なだれの力は、大きいものになると鉄筋コンクリートの建物さえおしたおしてしまうほどです。
1986年(昭和61年)1月に新潟県能生(のう)町(現在は糸魚川市の一部)で起こったなだれ(能生町なだれ災害)は表層なだれです。このときのなだれは沢にそって流れ、2キロメートルも先にあった集落をおそって、13人の命をうばいました。