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土砂災害防災のフィールド一般の方々に、土砂災害とその対策について理解していただくこと、またその理解を通じて防災意識を醸成・維持していただくことは、簡単なことではありません。私たちが砂防の広報に携わって30年以上、これまでに培った経験と知識を多面的に活かし、様々な活動の支援や資機材の提供を行います。
砂防フィールド
コミュニティ
スタッフの取材記録などを交えつつ、土砂災害を克服してきた各地の活動紹介や情報提供を行っております。
この場を通じて新しい発見や様々な交流が生まれることができれば幸いです。
北海道開発局による防災学習教室が9月10日(水)に開催され、
美瑛小学校の5年生41名が十勝岳火山の特徴や噴火の歴史、
大正泥流の被害とその後の防災対策等について学びました。
朝、教室で説明を受けたあと、十勝岳の望岳台に登り、
和田恵治教授(北海道教育大学旭川校)の説明や
火山噴火の時に炭化した木を探すなど、活火山について学びました。
お昼を食べたあとは火山砂防情報センターで美瑛町の川や
防災システムについて勉強しました。コーヒー牛乳を使った
火砕流の実験では交代で模擬噴火させてみて、楽しく学習しました。
8/26、ソウル大学の教授方が当センターに来訪され、
土砂災害に関する啓発活動や防災学習の事例等について意見交換を行いました。
韓国では、2011年に牛眠山(ウミョンサン)で発生した土砂災害を受けて、
ハザードマップの整備、携帯メールでの災害情報発信、
避難勧告システム等のソフト対策の整備が進められているが
一般には浸透していないとのことでした。日本では、
防災担当の行政職員はどのように一般住民への防災啓発を行っているのか、
学校教育での土砂災害の取り扱いはどうしているのか等々についての質問について、
当センターの活動実績や啓発ツールの活用方法、
事例やそれらの効果を紹介しました。
教授 イム・サンジュン氏
農学部生命科学大学森林科学部森林環境専攻
教授 アン・ドンファン氏
農学部生命科学大学農経済社会学部農学資源経済学専攻
副教授 イ・チャン氏
農学部生命科学大学院農産業教育科産業人力開発学専攻
農学特定研究員 ソン・ジヨン氏
東京大学大学院農学生命科学研究科森林科学専攻
参考 2011年 牛眠山(ウミョンサン)の土砂災害
場所 ソウル特別市瑞草区(ソチョグ) 牛眠山(ウミョンサン、標高293m)一帯
日時 2011年7月26日~27日
雨量 連続降雨量338mm、最大時雨量68.5mm
被害 土石流により死者16名
ソウル特別市の中心部で発生したという点から、国はこの地域を特別災難地域に宣布した。
8月24日(日)、魚沼市竜光集落のお祭りに行ってきました。
竜光は芋川の魚野川への合流部に位置する約100戸の集落です。
平成16年の新潟県中越地震では、
芋川上流部に地すべりによって大きな土砂ダムが生じ、
決壊の危機を経験しました。
砂防工事によって決壊は回避されましたが、
住民の方々は上流域から来る土砂が災害をもたらす可能性を
意識するようになり、防災意識が高まったそうです。
お祭りは高台にある天満宮で行われました。
中越地震では、建物や石垣のほか、鳥居も被災しました。
1年後に再建された鳥居が参拝の人たちを迎えます。
抽選券付きのプログラムが配られました。
今回のハイライトは、山古志の闘牛との綱引きです。
芋川上流で最大の土砂ダムができた山古志東竹沢地区の
木籠(こごも)集落と下流魚沼市竜光集落が、震災から
10年を契機に交流活動をスタートしました。
木籠区長の松井治二さんが山古志闘牛会の会長を
されており、竜光の方々に山古志の伝統文化に触れな
がら、近くに感じてもらえたらとの考えです。
そのきっかけは、「芋川砂防フィールドミュージアム」
(事務局:国土交通省湯沢砂防事務所)の砂防講習会でした。
(土砂災害防止広報センターは事務局のお手伝いをしています。)
さぁ、闘牛の登場です。
大きな牛がゆっくりと神社の坂を上ってきました。
社の脇がそのままステージとなって、復興記念祭の開会です。
功労者の表彰が行われ、震災時から集落の復興・再建に貢献された
3人の方の労をねぎらい、記念品が贈られました。
また、牛を連れてこられた木籠の皆さんも紹介されました。
下村亨 竜光区長の挨拶
松井治二 木籠区長の挨拶
「今度は山古志の防災運動会に来て下さい」
闘牛と綱引き。牛は後ろ向き。人は2列になって引っ張ります。
初めての試みとのこと。山古志の闘牛は勝敗をつけません。
小学生以下の子供たちも。みんながんばり、拍手で締めくくられました。
その後、幼児の踊りや、堀之内中学吹奏楽部による
工夫を凝らした楽しい演奏が披露され、祭は最高潮。
夜は盆踊りなどもおこなわれたとのことです。
川でつながった2つの集落。
防災のためのコミュニケーションにとっても、
地域振興にとっても、可能性の広がるお祭りとなりました。
平成25年5月25日(日) 阿賀野川総合水防演習8:30~12:45
大人245人、子供260人 計505人の方々に視聴いただきました。
北海道開発局による十勝岳防災学習教室が7月17日(木)に開催され、
美瑛中学校の1年生76人が火山や噴火災害対策について学びました。
北海道教育大学の和田教授や研究室の学生さんから、噴火の仕組みや、
たくさんの機器を使って十勝岳を観測していること、
実際の噴火時の現象などを講義と実験を通じて詳しく教わりました。
実験では、コーヒー牛乳を使った噴火と火砕流の実験などを行い、
生徒たちはとても興味を惹きつけられて参加していました。
【火山砂防フォーラム関連】 富士吉田市立吉田小学校に当センター講師を派遣しました。
2014.7.15 『産経ニュース』に掲載されました。
平成26年10月23日で震災10年を迎えます。お近くにお越しの際はこの機会に是非
とも迫力ある立体映像でご覧いただきたい作品です。
映像「新潟県中越地震 大地と人のドキュメント」
第1部「山が動いた」(3D)・・・夕暮れの東竹沢で何が起こったのか
第2部「決壊の危機」(3D)・・・想定されたおそろしい事態とは?
第3部「時間との闘い」(2D)・・・土砂ダム決壊を回避した人々の人間ドラ
マ
(映像提供;国土交通省湯沢砂防事務所)
長岡震災アーカイブセンターきおくみらい
http://c-marugoto.jp/facility/nagaoka.html
主催は、「中越メモリアル回廊推進協議会」。
平成25年7月6日(土)10時、長岡市内にある、
長岡震災アーカイブセンター「きおくみらい」に集合しました。
案内してくれる方の紹介ではじまりました。
約1時間半「きおくみらい」の館内を見学。
震災直後の映像を見て、当時の記憶を呼び起こしました。
女性職員の方から、床に張った航空写真で、
今日のツアーの場所の説明を受けました。
震災当時の様子をパネルを使って説明。
熱のこもった解説を聞き、震災当時の生々しい記憶が蘇りました。
竹沢の河道閉塞によって水没した家屋の現状。
木籠集落は半分の14戸が水没しました。
当初、住民は「見るのがつらい」との事で、保存に疑問視していましたが、
現在は、観光資源としての価値も出ているので積極的に保存を考えているとのこと。
木籠メモリアルパークの広場にある「郷見庵」で、手作りの産品を買いました。
山古志観光協会のテント。
当時の模様を地域住民から聞くことが出来ました。
移動に利用したNPO所有のワゴン車。
復興への苦労話、現在の姿になるまでの本音の話等を聞きました。
川口木沢には小学校を改装して出来た宿泊施設朝霧の宿「やまぼうし」もある。
ここではバイキングで昼食、山古志の山菜等を使い、ボリュウム、味とも参加者から大好評。
「震央メモリアルパーク」で説明してくれた土地所有者。
最初は「迷惑」だったが最近では「生きがいと人との絆を感じている」と熱のこもった話を聞く。
おじや震災ミュージアム「そなえ館」。
震災後の経過を知り、備えを考えるヒントをくれる。
長岡市妙見、地震発生から92時間後に2才の男児が救出された現場。
広場と、祈りの場所が整備されている。
「中越メモリアル回廊」の全体を知るパネル。(妙見メモリアルパークにて)
ツアー全体の進行に、参加者は大満足でした。
以上
◇日時 平成25年6月29日(土)13:30~16:30
◇場所 長岡震災アーカイブセンター「きおくみらい」
◇主催 中越メモリアル回廊推進協議会(長岡市・小千谷市・公益社団法人中越防災安全推進機構)
◇主旨
東日本大震災被災地では震災遺構についていろいろな意見が出ている。残すべきか、撤去すべきか、中越ではどうだったろうか。3つの震災メモリアルパークを考察しつつ、東日本大震災被災地へのメッセージとしたい。
基調講演では、(一社)減災・復興支援機構の木村拓郎理事長から「災害遺構の保存について~災害伝承を考える~」と題し、被災地域住民の負の遺産への「思い出したくない、見たくない」といったような心情があること、しかし災害を考えるうえでは事例を減災につなげることは重要であることや被災地を見に来る方々の動機はどうであれ防災への意識高揚とともに地域活性に繋がることを強調されました。遺構を残すことは、3つの効果があるとして、「被災地としての証」「減災対策の強化と促進」「地域復興の促進」と説明がありました。
つづくパネルディスカッションでは、「中越の震災遺構の役割とは」がテーマ。
○パネリスト
木村拓郎氏 (一社)減災・復興支援機構 理事長
上村靖司氏 長岡技術科学大学 准教授
澤田雅浩氏 長岡造形大学 准教授
○コーディネーター
稲垣文彦氏 (公益社団)中越防災安全推進機構 理事
以下、主なコメントです。
・災害も遺構もどうしても風化してしまうが「誰のために、何のために(残すのか)」を考えること。
・人間の心をどう残すか、物語を語り伝えること。
・遺構(の整備)が出来上がった達成感だけでなく、自分たちのモノとして将来に繋げること。
・大量に(集中投資的に?)砂防工事が行われ、今の暮らしが再建されていることなどをメモリアル
にするべき、どう動きをつくるか。(住民・行政にはできないことがあり、第3者の役割も大きい)
・黒子として頑張った人たち(復旧関係)のことは物語として遺構に繋がる。
・遺構の第一義は減災対策(意識啓発)である。見た人に印象を与えるには現物を見てもらうことが
一番わかりやすい。
・木籠の水没集落を保存することは山古志の宝になるとも言える。このような保存にあたっては法制度
の整備も必要ではないか。
・人を惹きつけ、仲間づくりをしながら地域コミュニティ(活動)をしていきたい。
・地域の自由な企画や取り組み、民意が先行する例はうまくいっている。高齢化する中山間地の在り方
を考えつつ実験的な取り組みは進めていきたい。
以上
6月23日(日)午後、福井県南越前町の「リトリートたくら」で開かれた講座に参加しました。
先人が残した地域の宝であるアカタン(赤谷川)や高倉谷川の砂防施設を活かして、体験を通じて人々が砂防に接する機会を提供し、土砂災害の基礎的知識や情報を伝えられる指導者を養成することを目的とした講座です。
赤谷川 夜はホタルのシーズン
・アカタン砂防に関しては下記もご覧下さい
◇報告 田倉川と暮らしの会15周年記念アカタン砂防交流会
◆概要
午後いっぱい(5時間)をかけた、座学と現地での講習が4名の専任講師と3人の1級インストラクターによって行われ、古木地区(アカタン)・瀬戸地区(高倉谷川)の皆さんなど約25名が受講しました。
会場となったリトリートたくら
講座の配布資料
◇プログラム(PDF)
◆講義
講義1「土砂災害を学ぼう」専任講師 澤田豊明先生(工学博士)
「土砂災害とは?」や「土砂災害を防ぐ砂防」、「さまざまな砂防施設」、
「日本の砂防のあゆみ」について写真や図を使ってお話しくださいました。
講義2
・「福井県の砂防」専任講師 田中和利先生(福井県砂防防災課)
「福井県の主な土砂災害」、「土砂災害対策」、「土砂災害防止法」についてお話しくださいました。
・「歴史的砂防施設の保存・活用」専任講師 玉村幸一先生(南越前町教育委員会学芸員)
「文化財保護の概要」、「歴史的砂防施設の保存と維持・管理」、「歴史的砂防施設の活用」について、
文化庁の資料などを使ってお話しくださいました。
講義3「歴史的砂防施設の解説指導法」専任講師 澤田豊明先生
「アカタン砂防施設」と、「高倉谷川砂防施設」について、パンフレットや写真を使ってお話しくださいました。
講義4「安全対策と体験活動指導法」専任講師 田中謙次先生(RACトレーナー)
「体験活動指導のコツ」「安全対策」「救助活動」などについて、
具体的な事例を挙げながらお話しくださいました。
◆フィールド解説
講師 伊藤喜右エ門(キヨモン)さん・伊藤武男さん・権八 實(ゴンパ)さん
座学での体験活動指導法をもとに、現地にて3名の1級インストラクターが
解説の実演をしてくださいました。
車に分乗して現地へ。
説明は、まずゴンパさんから。
立ち位置を考え、大事なことから
選んで伝えます。話しすぎてもNG。
ゴンパさんと伊藤武男さん(中央)を囲んで。
あらら、堰堤の下にイノシシが掘った跡が。
現地にはいつも様々な気づきがあります。
7号(奥の東)堰堤で説明するキヨモンさん。
「身振り手振り」は伝えるための大きな手助けです。
◆まとめの会
受講者には、インストラクター2級の「修了証」と「指導者登録カード」が贈られました。
感想の発表。学んだことや感想を共有する「ふりかえり」は大切。
*** お礼 ***
なごやかな講習会でした。
インストラクターという名前をいただいて、参加者はこれから自覚と探究心を高めながら現地案内ができることと思います。
他の地域にとってもたいへん参考になる、新しい取り組みを体験させていただいたことに感謝いたします。
関係者の皆様、ありがとうございました。
そうそう、現地の散策路には今回も新しいチップが撒かれていて、歩きやすいようにとのもてなしの気持ちが伝わりました。
また、交流会では1年ぶりにお目にかかった皆さんと楽しくお話しさせていただきました。いつもながらキヨモンさんのあたたかなお心づかいにも御礼申し上げます。
みなさん、どうぞお元気にご活躍ください。(N)