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土砂災害防災のフィールド
ネットワークで繋がろう、広げよう

~言葉はわかりやすく、つくる輪は親しみやすく~

一般の方々に、土砂災害とその対策について理解していただくこと、またその理解を通じて防災意識を醸成・維持していただくことは、簡単なことではありません。私たちが砂防の広報に携わって30年以上、これまでに培った経験と知識を多面的に活かし、様々な活動の支援や資機材の提供を行います。

砂防フィールド
コミュニティ

スタッフの取材記録などを交えつつ、土砂災害を克服してきた各地の活動紹介や情報提供を行っております。
この場を通じて新しい発見や様々な交流が生まれることができれば幸いです。

「スタッフ 」

生保内(おぼない)小学校5年生といっしょに秋田駒ヶ岳に登ってきました。

秋田駒ヶ岳山麓に位置する仙北市立生保内小学校では、今年5月から「ふるさとの山 秋田駒ヶ岳学習」と題し、総合的な学習の時間を活用し、7月に当ブログで紹介した防災ピクトグラムの制作など、地元の活火山秋田駒ヶ岳に関する学習に取り組んでいることを紹介してきましたが、これまで学習したことを実際に目で見て、感じてもらうため、夏休みの特別行事として8月11日(土) 秋田駒ヶ岳に登ってきました。

授業の一環としてではなく、あくまで自由参加のイベントとして実施しましたが、53名の5年生のうち、8割くらいの児童が参加しました。解説陣も秋田大学教育学部 林信太郎教授、秋田地方気象台 佐々木火山防災官、湯沢河川国道事務所秋田駒ヶ岳山系砂防出張所 櫻田所長と豪華です。(砂防広報センターからも2名参加)

生保内小学校から8合目登山口まではバスで行きます。私は、8合目までバスで行ける活火山を他には知りません。秋田駒ヶ岳への登山をたいへん楽なものにしていて、子供たちもこれまで学んできたことを楽ちんに自分の目で確認することが可能(なハズ)です。たくさんの登山客でにぎわう8合目登山口。秋田地台 佐々木火山防災官から火山監視に関するレクチャーを皮切りに、山頂を目指します。

秋田地台 佐々木火山防災官による火山監視に関するおはなし

途中、硫黄採掘現場では秋田大学 林先生指導のもと「硫黄の結晶探し」を実施。それこそダイヤの結晶でも埋まっているかのように、子供たちは硫黄の結晶探しに熱中し、結晶を見つけるたびに歓声を挙げます。このような学習を展開する場合、このような子供たち自身による「探しもん」を組み入れることの有効性をあらためて実感します。

硫黄の結晶探しに熱中する子供たち。顔が地面にくっつきそうです。

山頂に向かう途中の休憩地点。これまでの進めてきた学習の時間と比べて、子供たちのテンションが少し低いことに気が付きました。いつもなら講師陣に対して質問攻めとなるのですが、今日はあまり質問が出ません。8合目までのバスがヘアピンカーブ続きだったことが影響したのでしょうか?

休憩地点で田沢湖形成の歴史を説明する秋田大 林教授

そういえば、登山口に到着した時、たくさんの子供が突っ伏していたっけなぁ…

予定より、1時間以上遅れて最高峰 男女岳(おなめだけ:標高1637m)と南部カルデラの北壁 男岳(おだけ)の間に位置する阿弥陀池(あみだいけ)に到着し、予定を繰り上げ昼食をとりました。 昼食でやや息を吹き返した感のある子供たちの元気をみて、早速、林先生は「鉱物さがし」を開始、また、子供たちの目線は地面に釘付けです。

阿弥陀池を目指して歩く子供たち

エネルギー充填後、南部カルデラ内に新たに形成された火山体であり、近年、山体温度の上昇が確認されている女岳(めだけ)を観察する為、再び歩行を開始。秋田地台さんに用意いただいた色温度を観察できるカメラで現在の山体温度を確認しました。山体温度が一目でわかるカメラ映像や深くえぐりこまれたようなカルデラ内にそびえ立つ女岳の様子に子供たちも声を上げていました。

特殊なカメラで女岳山体の温度を計測

本来なら、男岳山頂を目指す予定でしたが、天候が少し悪くなってきたことや、押し気味なスケジュールを考慮して、下山することにし、全員無事に8合目登山口まで戻り、バスで学校に戻り、特別行事を終了しました。

 

お疲れモードではありましたが、無事下山。

下山後、子供たちの反応が、今回の登山ではなぜ思いのほか乏しくなってしまったのか?を考えました。理由として「夏休み」が挙げられるのではないかとの結論に達しました。これまでの授業は学期中に行われ、火山学習前後も授業や行事が行われていて、子供たちの頭のなかや体も学ぶ体制にありました。しかし今回は、夏休み開始から2週間以上が経過した時点の特別行事であり、子供たちの頭と体は秋田駒ヶ岳から離れていたのでは?ということです。大人も3連休くらいでも仕事を休んでしまうと、なかなか切り替えが難しいという現実を考えれば、今回の様子もなんとなく合点が行きます。大人の都合で日程を決めてしまったことを少し後悔し、教育を実践するタイミングのむずかしさを痛感した今回の火山学習でした。

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