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土砂災害防災のフィールド一般の方々に、土砂災害とその対策について理解していただくこと、またその理解を通じて防災意識を醸成・維持していただくことは、簡単なことではありません。私たちが砂防の広報に携わって30年以上、これまでに培った経験と知識を多面的に活かし、様々な活動の支援や資機材の提供を行います。
砂防フィールド
コミュニティ
スタッフの取材記録などを交えつつ、土砂災害を克服してきた各地の活動紹介や情報提供を行っております。
この場を通じて新しい発見や様々な交流が生まれることができれば幸いです。
◆アカタン砂防
アカタン砂防は、福井県南越前町(旧今庄町)古木地区に位置し、九頭竜川支流日野川の支川である赤谷川流域に点在する歴史的砂防えん堤群です。
より大きな地図で 赤谷川 アカタン砂防堰堤 を表示
明治28年から30年にかけて繰り返された大雨によって赤谷川上流の大平(おおびら)が崩れ、土砂が山津波となって谷に押し出し、大災害となりました。そこで福井県が第1期砂防事業の1つとして明治33年度に対策工事に着手しました。
多くの住民が集まり、技術者の指導のもと女性や子供も参加して1日に200~300人が働き、7年をかけた大事業によって2基の土えん堤と7基の石積み砂防えん堤を築造しました。アカタン砂防えん堤群は100年以上経過した今も地域を守っています。
◆アカタン砂防を紹介するホームページ
◇南越前町商工会-アカタン砂防えん堤-文化庁の登録有形文化財
http://www.minamiechizen.syokokai.com/500/002_2post_63.html
◇日本の土木遺産 アカタン砂防
http://www.jcca.or.jp/dobokuisan/japan/hokuriku/akatan.html
◇アカタン砂防堰堤群動画
http://fukui100kei.dogaclip.com/kanko/Profile-100000126.html
◆「田倉川と暮らしの会」について
大災害から100年を過ぎ、当時造られた砂防施設は土砂や樹木に覆われ、忘れられていました。しかし、古老達が当時のことを記憶していました。そこで現地調査を行って砂防えん堤の存在を確認し、専門家や国交省の人に値打ちがあるものなのか、見てもらいました。
ミュージアムの拠点としている「リトリートたくら」は、農水省の地域活性化補助金の最後の時期につくられましたが、客をリピーターにするにはどうすればよいかと悩んでいたところでした。その時、「昔のえん堤があるんじゃないか」ということになり、客に見てもらおうと、生い茂っていた樹木などを取り除いたところ、次々と立派な砂防えん堤の姿が現れました。えん堤は9基あり、県からは文化財にという話が来て登録されました。そうして多くの人が訪れるようになりました。
「田倉川と暮らしの会」は、田倉川と地域の民俗文化の魅力を発掘し、川づくり、流域づくりを考え体験することで、地域の人と都市の人が自然の中で交流・共生していくことを目指して発足しました。そして、行政や専門家との良い関係をつくりながら、「アカタン砂防エコミュージアム」などの活動を続け、今年は15周年をむかえました。そこで、記念として「アカタン砂防交流会」を開きました。
当日は約50名の方に参加いただきました。交流会の成果をこれからの活動につないでいきたいと思います。
◇案内チラシ《PDF》
https://www.sabopc.or.jp/blogimage/akatan15year.pdf
◇田倉川と暮らしの会・活動をふり返る《PDF》
https://www.sabopc.or.jp/blogimage/takuragawalife.pdf
◆アカタン砂防ハイク(平成24年6月2日午後)
さわやかな晴天に恵まれ、参加者・スタッフ約30名がリトリートたくら前に集合し、9号えん堤から大平中えん堤まで約1時間半の砂防ハイクを行いました。
現地では地元の語り部が説明を行いました。
◆記念集会
アカタン砂防ハイクに続いて、出前講座です。
「エコミュージアムがめざすもの」と題して、日本エコミュージアム研究会理事の笹谷康之先生にお話しいただきました。
エコミュージアムとは何か、先進地の事例、土砂災害は耕地を生み人を引き寄せるものであること、砂防地域もエコミュージアムになること、伝統工法による自然豊かな景観は地域資源として大切にすべきことなど、参考となる話題をたくさんいただくことができました。
その後は、シンポジウム形式の意見交換会です。
元京都大学防災研究所澤田豊明先生を座長に、講演者の笹谷先生、牛伏鉢伏友の会の加藤会長、国交省福井河川国道事務所の岩下所長、福井県砂防防災課の脇本課長、当会の伊藤を含めた6名と関係者・参加者でこれからの活動などについて意見交換を行い、エコミュージアムの全国大会をこの地で開く案などを今後考えていくことになりました。
◆高倉谷川砂防ハイク(6月3日午前)
高倉(こうくら)谷川は赤谷川の上流で田倉川に合流しています。アカタンとともに明治28年の豪雨で被災し、同じ時期に多くの石積み砂防施設が造られました。それらはアカタン同様に植物に覆われていましたが、瀬戸集落住民を中心に「高倉谷川砂防堰堤の会」を立ち上げて、発掘整備を行っています。ハイクでは5個所の石積みえん堤を案内しました。
山中にはまだ多くの石積みえん堤があり。これからも整備を続けて、皆さんに見ていただきたいと考えています。
◇高倉谷川砂防堰堤について
https://www.sabopc.or.jp/blogimage/takakuratani01.pdf
「田倉川と暮らしの会」会長 伊藤喜右ヱ門